「調停委員」って誰?
2019.01.06更新
離婚調停とは、調停委員会をはさんだ当事者同士の「話し合い」です。
調停委員会は、裁判官1名、調停委員2名(男女各1名)の計3名で構成されます。
といっても、裁判官は日頃の調停には出て来ないので、実際に会うのはほぼ調停委員2名です。
裁判官はいいとして、問題は「調停委員」です。
調停委員って、誰なのでしょうか?
まず、調停委員は離婚の専門家ではありません。
法律の専門家ではありませんし、人間関係の専門家でもありません。
様々な方面から集められた中高年男女です。
役所仕事なので、報酬も決して高くないと聞いています。
それなりに名誉職ではあるらしいですが、言ってみればアマチュアです。
考えてみれば不思議です。
現在の日本の法制度では、裁判所を通じて離婚するには必ず調停を経ないといけません。
当事者にとって、離婚は人生の一大事です。
なのに、アマチュアが仕切る話し合いを経ないと裁判所を通じた離婚ができない仕組みになっている。
弁護士から見ても、正直、法律の専門家でもない方が場を仕切っていることの不都合を感じることはとても多いです。
何より、調停委員は当たり外れが大きいです。
専門家としての訓練や選考過程を経ていないから当然です。
なぜこんな制度なのか?
色々と理由は挙げられますが、根本的には
「男女のくっついた離れたなんてのは、近所のおじちゃんおばちゃんが間に入ってなんとかするものである」という考え方があるのだと思います。
そんな時代遅れな、と言われるかもしれませんが、私にはそう思えますし、それ以外に説明は難しいとも思います。
私は、離婚とは、個人同士の関係の整理整理であると割り切って考えるより、まずは世間知で解決を試みるべき、という考え方は嫌いではありません。
でも、裁判所の制度としての離婚調停や、調停委員の人選については…もういい加減、こんなの辞めませんか、と考えています。
近所のおじちゃんおばちゃんが間に入った方が丸く収まる。
そういう時代では、もうないと思うのです。
ある意味でもっとドライに、ある意味でもっと効率的に。
離婚調停も、そういう方向に変わっていくべきだと思います。
弁護士 小杉 俊介