「単身赴任」は「別居」なのか
2018.12.26更新
一方は、長期間別居しているから婚姻関係は破綻しているという。
もう一方は、別居ではなく単なる単身赴任だから、婚姻関係は破綻していないという。
離婚調停や訴訟でよくある場面です。
民法上は本来同居義務を負う夫婦が、実際には別に暮らしている。
そういう意味では、単身赴任は間違いなく「別居」です。
では、単身赴任していれば婚姻関係は破綻しているのかといえば、もちろんそうではない。
弁護士としての実感としては、一方は実質的な別居の手段として、もう一方は夫婦関係は上手くいってないけど体裁を保つ手段として、「単身赴任」という口実をそれぞれ別の目的で使う、という例が多い気がします。
じゃあ現実問題としてそういう夫婦関係が破綻しているのかといえば、それは場合によるとしか言えません。
ただ、単身赴任というのが、実質的に破綻した夫婦関係をごまかす言い訳として、あまりに便利に使われ過ぎている、とは感じます。
そもそも、婚姻破綻と言われてしまうくらい長い単身赴任生活、というのが不自然です。
現状は、単身赴任だったら別居ではない、という側に少し天秤が傾き過ぎている印象です。
小杉