離婚相談ブログ

株式の半分を渡さず離婚する方法はあるか

2019.01.19更新

たとえば、結婚後に一念発起して自分で会社を立ち上げ、大きくした場合。

株式は100%近く創業者である自分が持っている場合が多いでしょう。

 

結婚期間に築き上げた財産は名義に関わらず夫婦の共有財産ということになります。

離婚に際しては、半分ずつに財産分与をしなければなりません。

会社の株式も例外ではありません。

 

それで、タイトルに掲げた問題に行き着きます。

結論から言ってしまえば、この問題には明快な解決策はありません。

 

たとえば、相手方から急に離婚を言い出された場合。

何の備えもない状況から出来ることは、たとえば「財産形成にあたっての配偶者の寄与の小ささ」を主張することくらいしかありません。

その主張だけで、「夫婦共有財産」という原則を崩すのは、相当難しいです。

 

大事なのは、「事前の備え」です。

関係が悪化してから何年もかけて離婚する、という意味ではありません。

関係が悪化する前から、将来の離婚の可能性に備え、ご自身の状況にあわせた対策を取っておく、ということです。

 

対策方法は様々です。

状況にあわせて考えていくしかありません。

その段階から相談をいただければ、私たちにもできることはたくさんあります。

 

弁護士 小杉 俊介

『ネットフリックス大解剖』に参加しました

2019.01.18更新

離婚とは関係ないのですが、『ネットフリックス大解剖』という本に寄稿しました。

ネットフリックスのドラマ『ベター・コール・ソウル』について書いています。

主人公が弁護士のドラマです。

編集の方からお話をいただいた際、「ぜひ弁護士でもある方に書いてほしい」と言われたことに気を良くしてしまい、自分自身のこともちょっと語ってしまいました。

先ほど見本が届いて早速読んだのですが、我ながら結構良いこと書いてるな、と思いました。

1/25ころから書店に並ぶとのことなので、是非。

はじめて共著者になりました。

 

弁護士 小杉 俊介

「教育方針の違い」は離婚の理由になるか

2019.01.17更新

異性関係。

経済問題。

DV。

離婚には色々理由があります。

以前、あるサイトで既婚者を対象とした「離婚したいと考える理由」のアンケート結果を見せてもらったことがあります。

その堂々第一位は「教育方針の違い」でした。

 

中学受験に消極的。

習い事に協力しない。

「教育方針の違い」の中身は様々ですが、それくらい重大な問題なのです。

 

ただし、「教育方針の違い」だけでは裁判所の認める離婚の理由にはなりません。

民法が定める離婚事由は、あくまで夫婦2人の関係に着目しています。

「教育方針の違い」は、あくまで親権者としての親の問題であって、夫婦関係とは別問題である、ということになっています。

 

ここに、民法の建前と実際との乖離があります。

それが良いとか悪いということではありません。

でも、離婚を考えるなら、子を中心として夫婦関係をとらえる考え方を法律は取ってはいないことを踏まえておいても損はないです。

 

 

弁護士 小杉 俊介

 

 

 

 

不貞関係がバレやすい時代

2019.01.16更新

私たちは、これまでになく浮気がバレやすい時代を生きています。

浮気≒不貞行為の証拠の入手がどんどん簡単になっていっているからです。

 

かつて、浮気の証拠といえば調査会社(探偵)による調査か、自分で現場に踏み込むくらいしかありませんでした。

 

ところが、まず携帯電話の登場で、通話履歴が残るようになりました。

メールが普及し、やりとりが残るようになりました。

携帯で写真の撮影も簡単になりました。

動画も撮れるようになりました。

極め付きはLINEです。

昔なら電話で会話するような内容が全て文字で残るようになりました。

あとは、隙を見つけて配偶者の携帯電話をチェックするだけです。

裁判で、証拠の入手経路を問われることはまずありません。見たもの勝ちです。

 

ここ数年、不貞行為の証拠として裁判などに出てくるのは体感で9割方LINEです。

不貞関係にある2人は、膨大なやりとりを残しがちです。

紙にして何百ページにも及ぶLINEのログを読むことは、弁護士の大事な業務の1つになりました。

 

時代は変わり、浮気はとてもバレやすいものになった。

言われてみれば当たり前です。

でも、人の意識はそう簡単には変わりません。

理屈では分かっていても、警戒心が追いついていない。

つい、ちょっとの浮気くらいバレないだろ、という意識で行動してしまう。

で、すぐバレて、証拠も残っているので、離婚へ。

そういうケースをよく見ます。

 

ある程度以上の年齢の方には、「自分の意識が時代の変化に追いついていない可能性」について意識していただきたいです。

その方が、世の中から「本来なくても良かった紛争」が減るのではないか、と思います。

 

 

弁護士 小杉 俊介

 

 

借金は財産分与の対象にならない

2019.01.16更新

結婚中に築いた財産は、離婚する際、財産分与の対象になります。

離婚の理由に関わらず、原則2分の1です。

一方、結婚中の借金は原則として財産分与の対象にはなりません。

夫婦生活のために作った借金でも、借金した人がそのまま背負うことになります。

 

例外もあります。住宅ローンです。

住宅は離婚時点での現在価値で分与されますが、その際、住宅ローン残額は引かれます。

マンションの査定額が3000万円だとしても、住宅ローンが2000万円残っていれば、財産としての評価は1000万円です。

でも、マンションの査定額が2000万円で、住宅ローン残額が3000万円の場合は、マイナス1000万円とはなりません。

借金は分与されないので、マイナスになったらゼロと一緒です。

つまり、手許に1000万円の借金が残ることになります。

 

お金を貸す側、つまり銀行のことを考えれば、この結論はやむを得ません。

借りた人が離婚したら、その人の債務が半分になった、というわけには行きません。

 

ただ、当事者間での公平はもう少し考えられるべきではないでしょうか。

債務が残る場合、他の財産から差し引くくらいは認められてしかるべきだと思います。

 

 

弁護士 小杉 俊介

 

「家事放棄」は離婚の理由になるか

2019.01.14更新

妻が家事をしない。

そのことを離婚の理由として主張する方がいます。

 

この主張は、裁判所や弁護士に不評です。

 

・そもそも「家事をしない」ことは離婚の理由になるほど重大か

・なぜ妻だけが家事をやることになっているのか

・自分がやればよいのではないか

・不満があるならまず話し合えばよいのではないか

 

など、ツッコミどころは確かにたくさんあります。

そもそも、「家事をしない」ことが理由に挙がる場合、実は別の理由(女性関係など)がある場合も多いです。

 

でも、じゃあ「妻が家事をしないから離婚したい」という相談を受けた場合、「そんな理由じゃ離婚できませんよ」と言って終わりなのかと言えば、そうではありません。

相談者の方が最初に持ってくる「離婚したい理由」は、必ずしも本当の「離婚したい理由」ではないことも多いのです。

 

以前、「妻が家事をしないので離婚したい」と言って相談にいらした方がいました。

しかし、よく聞いてみると、実態はとても「家事をしない」というレベルの話ではありませんでした。

詳細は書きませんが、「家事をしない」どころか「ゴミ屋敷」レベルでした。

しかも、相談者の方が片付けようとすると、感情的になって抵抗するので、自分がやることもできない。

そのような状態が10数年続き、家庭内の常識は、一般とは相当ずれてしまっていました。

それでも、この状況は何かがおかしいと思ったときに飛びついた言葉が「妻が家事をしない」だった。

問題の根はもっと深かったのです。

 

というか、そもそも離婚を考えるほどの状況なのだから、問題の根が浅いはずがありません。

「妻が家事をしない」に限らず、表面的な言葉の背後にある深い事情をくみ取る必要があると感じています。

 

 

弁護士 小杉 俊介

 

 

「相続財産」と「財産分与」

2019.01.11更新

前回、「離婚」と「相続」はだんだん似てくると書きました。

しかし、ある点で「離婚」と「相続」は根本的に違います。

それは、自分が相続した財産の扱いです。

 

離婚の場合、自分が相続した財産は、特有財産となります。

夫婦で形成した財産ではないので、共有財産にはなりません。

財産分与の対象にもなりません。

 

でも、相続まで待てば別です。

相続の場合、共有財産と特有財産の区別はありません。

相手が相続した財産であっても、相続では自分のものにすることができる。

 

例えば、自分の親から不動産を相続したとします。

離婚の場合、その不動産は特有財産なので、財産分与の対象にはならず、相手にわたることはありません。

でも、相続まで待てば、その不動産を手に入れることも可能なのです。

 

相手の立場に立ってみれば、離婚に応じず、相続まで待ちたい理由がここにあります。

相続が現実的な可能性として浮上してくる年齢になってから離婚を考える場合、この点もしっかり考えておく必要があります。

 

 

弁護士 小杉 俊介

ジェフ・ベゾス氏にみる「経済的成功と夫婦の不和」

2019.01.10更新

amazon経営者のジェフ・ベゾス氏が離婚するとのこと

個人的に何を知っているわけでもありません。

ただ、世界一の富豪だけに、経営者の離婚についての分かりやすい説明例になりそうです。

 

まず、創業者の場合、資産の多くは会社の持分(株式)です。

資産なので、当然、財産分与の対象になります。

でも、これから他人になる人に会社の一部を分け与えるのは現実的ではありません。

他の利害関係者も反対するでしょう。

 

代わりに現金で分与を行おうとしても、そんな現金はありません。

ベソス氏の場合、7兆円を超えるなんて話もあります。

そんな現金を作ろうと思ったら、それこそ株式を売却するしかありません。

もちろん、それも現実的ではありません。

 

日本ではまだ例は多くないですが、海外では婚前契約で対処していることも多いと聞きます。

ただ、ベソス氏の場合、結婚が25年前、まだamazon創業前とのこと。

会社がここまで大きくなることを見越して契約している可能性は高くなさそうです。

 

こうやってニュースになっているからには、当事者間で合意ができているということでしょう。

でも、合意できない場合、経営者の離婚は相当難しい、ということが実感できます。

 

もう1つ。

こういうニュースに触れたり、実際に経営者の方からの相談を受けたりする際につくづく感じるのは、経済的成功と夫婦関係の円満の複雑な関係です。

普通は、経済面での失敗は夫婦不和の原因です。

ありていに言えば、夫の稼ぎが少ないと、夫婦関係は上手くいかない。

弁護士として相談を受けていても、実際にそういう傾向は明らかです。

 

それを逆に考えれば、稼ぎが多ければ夫婦関係は円満に行きそうです。

会社員ならあり得ないような収入を得る会社経営者ならなおさらです。

 

ところが、現実には、会社の成功とともに夫婦関係が上手く行かなくなった、という例をよく聞きます。

経済的成功はむしろ夫婦不和の方向に働く要素なのではないか、と思わされるほどです。

 

自由になる金が増えたことによって私生活で問題が発生する、という面ももちろんあります。

でも、それだけではなさそう、というのが私の実感です。

 

明確な答えを持っているわけではありません。

ただ、夫婦というのは微妙なバランスの上に成り立っているものだ、ということは言えそうです。

 

 

弁護士 小杉 俊介

 

 

 

「離婚」と「相続」はだんだん似てくる

2019.01.10更新

歳を重ねるにつれて、似てくるのが「離婚」と「相続」です。

 

まだ若いうちは、資産もそれほどありませんし、亡くなるのもだいぶ先のことなので、「離婚」と「相続」はまるで別のものに見えます。

でも、時が経つにつれ、資産は形成されていきます。

子どもや性生活などの重要度も下がってきます。

離婚するにも数年かかるとして、その間にどちらが亡くなる可能性も上がってきます。

そうなると、がぜん「離婚」と「相続」は似てきます。

 

子がいる場合、夫婦の相続分は2分の1です。

離婚の財産分与では、共有財産を2分の1ずつに分けることになります。

つまり、自分より相手の方が先に亡くなる可能性が高い場合、財産の分配という点では違いがなくなってきます。

 

要は、離婚しようがしまいが、経済的には変わらない、ということです。

そうなると、例えば一方が離婚を望んだとしても、もう一方がそれに応じる動機がなくなってくる、ということです。

 

こうなってくると、離婚したくても、なかなか思うように行かなくなってきます。

ある程度以上年齢が上がってからの離婚したい場合、将来の相続まで視野に入れて戦略を立てる必要が出てくる、ということです。

 

「離婚」と「相続」の最大の違いとして、「特有財産」がありますが、それは次回に。

 

 

弁護士 小杉 俊介

「調停申立書」が届いたら

2019.01.08更新

ある日突然、妻が子を連れて出て行った。

ほどなく、裁判所から「調停申立書」が届いた。

 

私のところへ来るご相談で一番多いのは、このパターンです。

調停申立書には、調停期日通知書という書面もついていて、第1回期日を一方的に指定されています。

 

書面が届いた際の対応は、「弁護士に相談」の一択だと思います。

弁護士の営業トークではないつもりです。

依頼するにせよしないにせよ、相談はするべきです。

 

調停の具体的な進行。

養育費や財産分与の具体的な落としどころ。

そういった点が頭に入っているか入っていないかで、その後の流れが大きく変わってきます。

 

調停は、ほっておけば時間がかかります。

1年かかることだって普通にあります。

最初に相談しておくだけで、その期間がぐっと短縮できる可能性だってあります。

 

まずは相談。

その後のことは、相談の後に考えても遅くありません。

 

 

弁護士 小杉 俊介

男性側に立った離婚問題の解決を

一時の迷いや尻込みで後悔しないためにも、なるべく早い段階でご相談ください。