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離婚後の祖父母との関わり

2021.12.17更新

離婚時には、面会交流についても定める必要があります(民法第766条1項)。

面会交流の主語は「父又は母」と「子」です。

その他の人、例えば祖父母は含みません。

 

子の親権者は父母のみであり、その他の人と子の関係は法律で決めることではない。

その建前は理解できます。

 

一方で、離婚後の子の親権者を決める際、事実上、祖父母も当事者として扱われていることは珍しくありません。

父母のどちらが親権者として適格な判断する際、考慮要素の1つに「監護補助者」があります。

離婚後、子と同居する親は1人になる。

親1人では、仕事との両立等で行き届かない面が出てくる可能性がある。

1人親を補助してくれる人は近くにいるか。どれくらい力になれるか。

監護補助者の有無や能力は、親権者を決める判断に一定以上の影響力を持っています。

そして、ここで言う監護補助者とは、事実上ほぼ祖父母のことです。

 

親権者側の祖父母の監護補助能力には期待する。

でも、非親権者側の祖父母については、まったくの無権利者として扱う。

これはフェアでしょうか? 理屈が通っているでしょうか?

 

祖父母を監護補助者として期待するのは、祖父母と孫の間には特別な関係性が存在するからです。

そうであるなら、面会交流においてもその特別な関係性に配慮すべきです。

面会交流について決める場面では、もっと祖父母はじめ親族が尊重されるべきです。

そのような方向に実務が変わっていくことを希望します。

 

「連れ去り」にあったら

2021.12.06更新

ある日、帰宅すると、配偶者と子どもの姿がない。

配偶者には連絡もつかない。

程なく、配偶者の代理人弁護士から受任通知が届く。

受任通知には、離婚の意思と、離婚成立までの間の婚姻費用を請求すると書いてある。

 

いわゆる「連れ去り」の典型例です。

弁護士のところに持ち込まれる離婚案件のうち相当数は上記のパターンです。

 

現状、「連れ去り」にあった側は圧倒的に不利です。

しかし、負けが決まった訳ではありません。

「連れ去り」にあったらまず何より優先すべきは「迅速な初動」です。

具体的には、可能な限り早期に子の監護者指定・子の引渡しを求める審判を裁判所に申し立てるべきです。

 

なぜ「可能な限り早期」か。

子の監護者を争う際、裁判所はよほどのことがない限り連れ去り自体の経緯や可否は問題にしません。

現に別居している両親を比較し、どちらが子の監護者にふさわしいか、という基準で判断します。

この比較では、連れ去られた側は圧倒的に不利です。

現に子を監護していない以上、「いかに監護者にふさわしいか」を実証するのは難しいからです。

 

注力すべきは、自分の適格性よりも、相手の不適格性です。

相手の監護の問題性です。

同居中にこのような出来事があった。

相手にはこのような問題のある特性がある。

監護を手伝ってくれる人もいないはず。

そういった事情を指摘し、子が不適切な監護のもとにある可能性を示す。

裁判所にも、問題意識を共有してもらう。

それが大事です。

 

大事なのは、裁判所に事態の重大さを認識させることです。

この人は単に配偶者との勝負でこういう主張をしているのではない、子が心配でたまらないんだ。

その切迫感を伝えることです。

そこで大事になってくるのが「可能な限り早期の申立て」です。

 

たとえば、連れ去りにあってから3か月後に申立てを行ったとします。

その場合、少なくとも3カ月間、子は相手方のもとで無事に生活してきたことになります。

申立人もその3カ月間、相手方による子の監護をそこまで問題視していなかったことになります。

ということは、監護者指定・子の引渡しを申立てたとしても、そこまで切迫していないのかもしれません。

離婚紛争を有利に進めるための戦略の一環に過ぎないのかもしれません。

 

裁判所に上記のような疑念を抱かせないために重要なのが「可能な限り早期の申立て」です。

連れ去りから申立てまでのスピード感で、裁判所に事態が切迫していることを伝えるのです。

 

もちろん、早期に申立てをしたからと言って必ず勝てるわけではありません。

しかし、まずは早期に申立てをしないと、そもそも土俵にすら立てない可能性が高い。

それくらい連れ去られた側は不利です。

不利な戦いを少しでも挽回するために、早期の申立て、その前提としての早期の相談をお勧めします。

 

男性側に立った離婚問題の解決を

一時の迷いや尻込みで後悔しないためにも、なるべく早い段階でご相談ください。