「子が会いたがっていない」は面会交流をしない理由になるのか
2021.01.12更新
「子が会いたがっていない」
「子が嫌がっている」
面会交流の代理人業務をしていると、このようなセリフをよく聞くことになります。
貴方は子に会いたいかもしれないが、子は会いたがっていない。
離婚で何より大事なのは、子の福祉のはずだ。
子の福祉よりも、自分の気持ちを優先するのか。
そういう理屈で、面会交流の頻度が減ってしまったり、場合によってはまったく会えなくなったりします。
そして、現行の制度では
「子が『会いたくない」と言っている」
と言われてしまったら、それ以上強制する方法は事実上ありません。
確かに、子に負担をかけてまで面会交流を強引に実施するのはおかしい。
しかし、本当に冒頭のようなセリフを面会交流を実施しない理由にしてよいのでしょうか。
私は、それはおかしいと考えています。
なぜなら、面会交流は
「子が会いたがっているから」
という理由で実施するものではないからです。
もちろん、
「親が会いたがっているから」
でもありません。
会いたい/会いたくないに関わらず、親と子が関わることそれ自体が、子の人間的成長や発達に資する。
だから、実施するのです。
そういう意味で、「面会交流」という言葉はやはりもっとふさわしい言葉に置き換えられるべきです。
親と関わること自体が、子にとって有益である。
両親が揃っている家庭であれば、そのことを疑う意見は少ないはずです。
子が親のことを少々嫌がっていようと、子に関わろうとする親のことを悪く言う人は少ないと思います。
なのに、離婚もしくは別居した途端、片方の親との関わり自体が無益なものとして切り捨てられる。
それは明らかにおかしいです。
いや、親と子が関わることそれ自体には有益な価値はない。
そういう意見もあるかもしれません。
そのような貧しく寂しい人間観で、親子の問題に関わってほしくないと切に思います。