「単独親権違憲訴訟」を応援します
2019.07.30更新
離婚後単独親権制度は憲法に反するとして集団訴訟が提起されるとのニュースがありました。
提訴は本年10月予定とのことですが、私はこの訴訟を支持し、応援したいと思います。
離婚後単独親権制度は、子は「家」に所属するという制度です。
要は、「イエ制度」「家父長制」を前提としています。
家父長制では、子だけでなく、すべての個人が家に属し、家長の監督に服します。
しかし、少なくとも大人はどの家に所属するかを選べます。
日本国憲法では、
「婚姻は、両性の合意のみによって成立し…」
とされているからです。
この条文は、明確に、「家同士の結びつき」としての婚姻を否定する趣旨です。
大人は、個人の選択により、憲法を基にして「家」から自由になることができます。
ところが、子にはその選択がありません。
親同士が離婚した場合、父母どちらかの「家」に所属することを強いられます。
離婚後単独親権制度とは、子を「家」の所有物として扱う制度です。
これは私の独自の意見ではなく、歴史的にも、比較法的にも、大きな異論は出てこないところだと思います。
離婚後単独親権制度を擁護するのは、理論的には困難です。
離婚後単独親権こそが人権にかなう、という主張を私は見たことがありません。
それにも関わらず、なぜ離婚後単独親権制度が維持されているか。
色々な理由があると思います。
その中でも大きな理由が、「子の養育に関わること」が親個人の権利として認められていないことにあると私は思っています。
離婚後の子の監護養育に関する原則は、現状、「子の福祉」一点ばりです。
親の権利、という視点は一切ありません。
そもそも、現状の制度下で「子の福祉」が正しく尊重されているか自体、疑問はあります。
ただ、それ以前の問題として、子に対する親の権利が尊重されなくて、本当に良いのでしょうか。
子に対する親の権利と言ったって、何も子に対し「親に会え」と要求する権利ではありません。
国や、自治体や、学校や、元配偶者に対し、「親が子と関わることを妨害してはならない」という権利です。
現状では、国、自治体、学校、そして何より元配偶者によって、あまりにも簡単に、無造作に、親の権利は無きものとして切り捨てられています。
第三者によって子から切り離された親の苦しみ、悲しみは、時として命を奪いかねないほど深いです。
「夜寝れない」「仕事が手につかない」「体重が10キロ減った」…そういった苦しみの声を聴くことは決して珍しくありません。
だからこそ、今回の訴訟を支援したいと思います。
子に対する親の権利を、是非憲法に基礎づけられたものとして勝ち取っていただきたいからです。
そのために、弁護士として出来ることで是非協力できたらと考えています。