「継続性の原則」とは何か
2021.08.30更新
離婚・監護権について裁判所で争う際、重視される観点の1つに「継続性の原則」があります。
子は、誰に、どこで、どんな状況で監護されているか。
子の福祉のためには、子の監護状況は理由なく変更されるべきではない。
それが「継続性の原則」です。
有り体に言えば、現状維持優先ということです。
継続性の原則は、かつては今よりさらに重視されていたようです。
しかし、継続性の原則には重大な欠陥があります。
例えば、一方の親が無断で子を連れて別居した場合。
残された親が親権・監護権を争っても、その時点での「現状」では、子を監護しているのはもう一方の親です。
継続性の原則により、連れて出た方が勝ち、置いて行かれた方が負けてしまうのです。
これでは、裁判所が「連れ去り」を推奨しているようなものです。
そこで、「継続性の原則」は見直されることになりました。
具体的には、現在の監護状況がどのように確立されたかによって、継続性をどこまで重視するかを分けるようになりました。
別居に至る過程に問題がなければ、継続性が重視されるのは変わりません。
一方で、別居過程が違法なものだった場合には、継続性を重視しない。
そう場合分けすることで、不当な結果を回避するという考え方になりました。
正直なところ、以上の考え方がきちんと裁判所で実践されているとは言えません。
一方の親に無断で連れ去っても、よほどのことがない限り違法とは評価されません。
裁判所による連れ去りの推奨は続いてしまっています。
しかし、少なくとも「継続性の原則」には欠陥がある、ということは意識されるようになりました。
それは1つの前進だと思います。