「本書面到達から1週間以内に連絡をください」
2023.02.05更新
ある日、配偶者の代理人を名乗る弁護士から「受任通知書」なる書面が内容証明郵便で届く。
書面には、配偶者は離婚を希望しており、今後の窓口は代理人が務めると書いてある。
場合によっては、婚姻費用を請求する旨の記載もある。
これが、弁護士を介しての離婚協議が始まる代表的なパターンです。
その書面の末尾のあたりには、決まって表題のようなことが書いてあります。
「ご連絡いただけない場合には、やむを得ず法的措置を取ります。」
というようなことが書いてある場合もあります。
私自身、何度も書きました。
この「1週間」という期間の根拠はなんでしょうか。
実は、「何となく」です。
特に根拠はありません。
1週間という期間を守らなかったことによる不利益は何でしょうか。
実は明確にこれというものはありません。
家庭裁判所は調停前置と言って、まず調停を経る必要があります。
調停はあくまで話し合いです。
当事者間で話し合うのと何ら変わりません。
調停で話がまとまらなければ場合によって訴訟になります。
しかし、訴訟になったからといって必ずしも不利益ではありません。
財産分与は2分の1,養育費は算定表どおり。
お金に関するルールは訴訟になっても変わりません。
当事者間で話し合っても、調停になっても、訴訟になっても特に有利でも不利でもありません。
1週間という期限を守らないことによる不利益は、少なくとも法的にはありません。
もちろん、受け取った受任通知書を無視しても良いと言っているわけではありません。
きちんと対応することが、離婚自体の解決のために重要なのは当然です。
ただ、1週間という期間の短さに焦り、判断を誤ることは避けるべきです。