協議離婚で決めるべきこと
2022.02.16更新
民法766条第1項
「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」
離婚には、協議離婚と、裁判所での離婚の2種類があります。
弁護士が主に扱うのは後者です。
一方、離婚全体の9割近くを占めているのは前者の「協議離婚」です。
役所に離婚届を提出さえすれば、協議離婚は成立です。
協議離婚の際、決めなければいけないことは何か。
それを定めたのが冒頭の民法766条1項と、親権に関する第819条1項です。
1.子の親権者となるのは父母どちらか
2.子を監護するのは父母どちらか
3.面会交流
4.養育費
5.その他子の監護について必要な事項
条文からは、最低でも以上の5点は定めないといけない、と読み取れます。
ところが、法律の定めに関わらず、協議離婚の実務はそうなっていません。
離婚届の書式には、1の記載欄しかありません。
2~4については記載欄すらなく、当然、2~4の事項を定めたかどうかもチェックされません。
全体の2割強しか養育費が支払われていない、とよく報道されます。
養育費について定めなくても離婚できてしまうのですから、当然です。
なぜこのような書式が現在でも使用されているのか、理解に苦しみます。
裁判所での離婚では、さすがに1~4すべてマストです。
養育費について定めずに離婚はできません。
このように、協議離婚と裁判所での離婚では決めるべき内容がずれているので、注意が必要です。