婚姻費用はいつまで遡る?
2022.02.14更新
離婚成立前に別居すると、婚姻費用の支払義務が発生することがあります。
婚姻費用とは、おおまかに言ってしまえば、収入が多い方から少ない方へ支払う生活費です。
金額は、双方の収入に応じて決まります。
そもそも、一方的に別居した当事者から無条件で婚姻費用が請求できるのはおかしいのではないか。
その意見は一理あります。
しかし、現に裁判所では婚姻費用請求がほぼ無条件で認められているので、その点はいったん措きます。
婚姻費用の金額が決まるまでには、それなりに時間がかかります。
金額が決定した段階から支払うとすると、決まるまでの期間分の婚姻費用が失われることになります。
そこで、婚姻費用は「請求時点から」発生することになっています。
金額が決まったら、請求時点まで遡って支払義務が発生することになるのです。
たとえば、請求から4か月後に月額10万円と決まったら、4か月分40万円の支払義務が発生することになります。
請求時点とは、単に「支払ってほしい」と言っただけでは足りません。
一番確実なのは、婚姻費用分担請求調停を提起することです。
弁護士からの内容証明郵便でも十分です。
本人からのメールでも、「婚姻費用を請求します」と明記してあれば認められるケースが多いと思います。
現実問題として、いったん別居が始まってしまえば、相手に婚姻費用を請求する意思があれば、逃れる道はほぼありません。
実際に請求が来てしまえば、後は結果はほぼ変わりません。
婚姻費用の支払義務が発生し、離婚までその義務は続くことを前提に、その後の選択を考えた方が現実的です。