「性格の不一致」は離婚の理由になるか
2019.03.27更新
離婚したいと思う理由でアンケートをとったら、恐らく一位は「性格の不一致」になるんじゃないでしょうか。
一方で、裁判所に離婚を求めた際、一番離婚に結びつけるのが難しいのも「性格の不一致」だと思います。
原則として、双方の意思が合致しないと離婚はできません。
一方からの請求のみによる離婚はあくまで例外です。
一方からの請求で離婚できるのはどんな場合か。
民法770条1項に列挙されています。
1.配偶者に不貞な行為があったとき
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき
3.配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
これだけです。
このうち、2~4は例外中の例外で、ほぼ出てきません。
1は不貞行為、要は浮気です。
問題は、5の「婚姻を継続し難い重大な事由」に「性格の不一致」が含まれるか、です。
気が合う、性格が合うからこそ、生活を共にすべく結婚する。
そう考えれば、「性格の不一致」は婚姻を継続し難い重大な事由の最たるもののはずです。
では、なぜ「性格の不一致」を理由とした離婚請求は認められにくいのか。
結局それは、離婚する合意ができていないから、です。
離婚したいくらい性格が合わないなら、当然、相手も離婚を望むはずである。
ところが、現に離婚の合意はできていない。
相手は離婚を望んでいない。
ということは、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるほど性格が合わないわけではない。
そういう理路になります。
でも、これはちょっとおかしいです。
人が「離婚したくない」と思う理由は別にある場合が多いからです。
具体的には、経済的な理由です。
離婚すると、生活が立ち行かない。
そこまで行かなくても、生活レベルは下がる。
それは当然ですし、よく分かります。
でも、「性格の不一致」で離婚したいと言っているのに対し、経済的な理由を持ち出しても、話がかみ合っていません。
私は、議論がかみ合わず、裁判所まで「性格の不一致」が持ち込まれる事態はなるべく減らした方が良いと思います。
具体的には、少なくとも「性格の不一致」が離婚事由に該当し得る、ということはもう少し積極的に認められるべきです。
経済面の保護は別途方策が打たれるべきです。
その方が、性格が不一致なのに離婚はできない、という不幸な事態を減らせるのではないでしょうか。
弁護士 小杉 俊介