弁護士は誰の味方か
2019.03.12更新
「相手の弁護士は、相手の味方ですから。中立の立場じゃないですから」
「私も、あなたの100%味方であって、仲裁する立場ではありません」
相談の際、こういった説明から入ることがよくあります。
相手には既に弁護士がついている。
離婚条件は示されている。
この条件で離婚してよいのか。
そんな段階で相談に来られた方に多いです。
こういった説明が必要なのは、弁護士というのは中立の立場だと無意識に誤解されることがよくあるからです。
また、「自分は中立の立場です」と明言しなくても、そう誤解されたままにしておいているんじゃないか、というケースもあります。
その方が交渉がよりスムーズに、有利に進むからです。
そのような場合には、まず、弁護士というものの立ち位置を明確にするため、こういった説明が必要になります。
それぞれの利益をぶつけあって、落としどころに持って行く。
公平な第三者が必要なら、裁判所に行く。
それが原則です。
ただ、弁護士としては、「本当にそれで良いのか」という思いもあります。
離婚は、借金や、債務不履行や、交通事故とは違います。
ある程度の確率で発生する人生のイベントであって、事件ではありません。
必ずしも対立する必要はない。
むしろ、対立しない方が良い。
弁護士に「中立の立場」が望まれる場面があるなら、それに答えたって良いはずです。
弁護士のところに相談に来られた途端、「どちらかの味方」にならなければいけない訳ではない。
それでは、ひょっとすると、対立を促すことに繋がるかもしれない。
対立的でない、双方にとってフェアな解決を目指す立場で離婚に関われないか。
少なくとも、そういう関わり方はあり得るんじゃないか。
まだ模索の段階ですが、そう考えています。
弁護士 小杉 俊介