離婚した後に親権を移動できるか
2019.03.01更新
離婚した時はとりあえず母を親権者にした。
だけど、後になって、健康保険などの関係で、父を親権者にした方が有利だと気づいた。
親権者を変えることについて、父母の意見は一致している。
なので、今から子の親権を母から父に移したい。
こんな相談を受けることがあります。
でも、離婚した後に親権を移すのはそう簡単ではありません。
まず、父母が同意しているからといって、勝手に親権者を変更することはできません。
裁判所の許可が必要です。
その裁判所の許可を得るのもハードルが高いです。
親権者変更の必要性などを立証しなければいけません。
単に経済的に有利だから、では親権者は変更できないのです。
子の親権はそんな簡単に移したりするものではない。
それはその通りです。
なのに、この結論には何だか納得がいかない。
それは、離婚の際には、当事者同士に自由に親権者を決められるからではないでしょうか。
決める際には自由なのに、変更の際には厳格な要件を満たす必要がある。
いつの間にかルールが変わっているのです。
こんな制度を正当化するのは困難です。
原理的には、離婚時に親権者を決める際にも、必ず裁判所の審査を経るような制度にすべきです。
でも、近い将来に制度が変わる可能性は正直なところ非常に低いです。
とりあえず、親権者を決める際にはくれぐれも慎重に。
後から変えようとしても、そう簡単には行かない。
それを肝に銘じるしかありません。
弁護士 小杉 俊介