離婚相談ブログ

養育費の基準を上げるより大事なこと

2018.12.19更新

離婚後に養育費を支払っている親は全体の2割しかいない、とよく言われます。

その元になっているのは、厚労省によるこんな統計です。

 

確かに、平成28年時点でも、離婚後の家庭のおよそ2割程度しか養育費を受け取っていない実態が分かります。

でも、この統計で本当に大事なのはそこでしょうか。

よく読むと、そもそも離婚時に養育費の取り決めを書面で交わしている家庭自体が4割強しかないことが分かります。

そもそも養育費の取り決めもしていないのに、養育費が払われる理由がありません。

 

養育費の回収率を上げるより前に、まず、養育費の取り決めがされる割合を上げる方が先決です。

そして、こちらはかなり確実な方法があります。

 

日本の離婚の大部分は、当事者同士で離婚届を提出するだけの、いわゆる協議離婚です。

そもそも、そんな簡単に離婚できる制度自体が決して一般的ではなく、世界的に見れば、裁判所が関与しなければ離婚できない国は珍しくありません。

 

役所が離婚届を受け付ける際に、養育費の書面での取り決めを義務化すれば、養育費の取り決めなしでの離婚を防げます。

もちろん、取り決めの内容はきちんとチェックされなければいけないので、制度の変革も、人手の増員も、予算も必要でしょう。

でも、子の福祉のために養育費支払いの確保が必要だというなら、養育費を支払わない親を悪者にする前に、やれることがあるはずです。

 

最高裁は、現行の算定表だと養育費が低すぎるとして、見直す方針だそうです。

最高裁が算定表見直し

結構なことです。

しかし、そんなことより先にやるべき制度変革はあるはずです。

そちらに手を付けずに、算定表の見直しの方から手を付けることに、正直言って違和感を覚えます。

職員に命令して算定表を見直すだけなら、大して予算も要らないし、裁判所が責任負うこともない。

そう考えても、別にうがち過ぎだとは思いません。

 

弁護士 小杉

男性側に立った離婚問題の解決を

一時の迷いや尻込みで後悔しないためにも、なるべく早い段階でご相談ください。