「男は親権を取れない」は本当か
2018.12.18更新
「男は親権を取れない」とよく言われます。
私も相談者の方にそのような説明をすることもあります。
でも、本当にそうでしょうか。
男性側が親権を持つことを希望しても叶わないケースが多いことは事実です。
私の経験でもそうです。
しかし、男性側が親権を持てない決定的な理由が「男性だから」であるケースはほとんどない、というのが実感です。
一概には言えませんが、これまでの監護実績と、これからどのように監護していくのかという計画の具体性の方がずっと重要だと感じています。
裁判所には「母性優先」の原則があるというのは事実です。
しかし、この原則はいわば殿下の宝刀で、よっぽど揉めた果てに、最後の判断の頼りとして出てくる、という印象です。
ほとんどの親権争いはそれ以前の段階で決着がつきます。
10:57 2018/12/18
有り体に言ってしまえば、それまで主に子の面倒を見てきた方の親に任せるのが一番、という形で決まることがほとんどです。
逆に言えば、男性側であっても、それまでに監護実績を積んでいたり、ある程度成長した子が父親の監護を希望したりといった事情があれば、親権は持てます。
監護実績や子の希望よりも「母性」が優先されるというのはちょっと想像しにくいです。
「男は親権を持てない」というのは、諸々の事情を考慮すると、そういう結論が出やすい、ということを乱暴にまとめた、誤解を生みやすい言葉だと思います。
現に、最近の依頼者の方でも、お子さんに「父親と生活したい」という希望があり、その旨の陳述書を裁判所に提出した結果として、すんなりと親権を持てた例がありました。
そもそも、相手がよっぽど親として不適格でない限り、親権は争ったり、取り合ったりするものでありません。
でも、離婚の場面では、感情的なもつれもあって、往々にして当事者は親権を争い、取り合います。
そういった不毛な事態を避けるためには、親権とはそもそもそういう性質のものではない、ということをきちんと双方にご理解いただく必要があります。
でも、それは手間がかかる。
その手間を避けるために、ついつい濫用されるのが「男は親権を取れない」という言葉ではないか、という印象があります。
まったく間違っているというわけではありません。
でも、誤解を生みやすい言葉でもあります。
自戒を込めて。