「共同親権」は必要か
2019.01.29更新
昨年10月、単独親権しか認められないのは憲法に反するとして、最高裁に上告した方のニュースがありました。
以前から、離婚後も共同親権が認められるべきかという議論はありましたが、このニュースを受けて議論が活発になっている印象です。
欧米では共同親権が原則である国がほとんどである点を指摘し、子の福祉のためにも単独親権のみという現状は見直されるべきとの意見。
民法の成り立ちにまで立ち返り、家族への公的介入の充実が先決であるとの意見もありました。
私個人としては、事実認識としては後者に近いです。
共同親権の導入よりも優先的に改善される制度はあるのではないか、と考えています。
ただ、後者のように共同親権を導入した場合のデメリットにのみ目を向け、「家族への公的介入への充実が先決」と言っているだけでは、今後もずっと状況は変わらないのではないでしょうか。
具体的には、後者で正しく指摘されているとおり、比較制度的にあまりに簡単に協議離婚が可能な制度をまず変えるべきではないかと思います。
全ての離婚が、どんな形であれ公的な審査を経る制度にすることで、離婚に伴う親子の分断の問題のかなりの部分は良い方向に持っていけるはずです。
その上で、方向性としては共同親権の方向に向かっていくべきだと思います。
当たり前ですが、離婚によって親と子の縁が切られるべきではないからです。
弁護士のところに相談が来る離婚は、離婚全体のほんの一部です。
しかも、かなり偏った一部です。
具体的には、紛争性の高い件ばかりです。
こういった意見は、口幅ったいですが、自身の知見の偏りに無自覚なように見えてしまいます。
共同親権を求める男親の多くが元DV夫であるわけでありません。
離婚後の両親の断絶を深める方向にしか働かないこういう意見には、同業者として、明確に反対したいです。
弁護士 小杉 俊介