離婚と破産
2025.07.28更新
「離婚というのは、会社でいえば破産です。」
財産分与について説明する際、この表現をよく用います。
離婚によって夫婦という組織は解散になる。
解散にあたって、残っていた財産はいったんすべて供出する。
供出された財産をルールに従って分配する。
こう見ると離婚と法人破産はよく似ています。
違うのは、破産では財産は債権者に分配されるのに対し、離婚では当事者間で分配する点です。
離婚では財産の半分は手許に返ってきます。
結果だけ見れば離婚と破産はあまり似ていません。
しかし、財産はいったん供出し、決まりに基づき分配するという流れは同じです。
「離婚というのは、会社でいえば破産です。」
この表現を用いるのは、財産をいったん供出する、テーブルに載せるという点をイメージしていただきたいからです。
いくら分与するか。
どう分けるか。
その議論は、まず財産をテーブルに載せてから、です。
自分名義の財産を喜んでテーブルに載せたい人はまずいません。
財産をきちんとテーブルに載せてもらうためには、強制力をともなう制度が必要です。
破産では、財産隠しに対する罰則などの制度が整備されています。
一方、離婚はこれまで、正直なところ制度が未整備でした。
制度が未整備なことが、相手に対する疑心暗鬼を生む。
疑心暗鬼が議論を長期化させ、時に泥沼化させる。
そういった件は珍しくありませんでした。
来年、改正民法が施行されるとともに、改正家事事件手続法も施行されます。
改正法では、「情報開示命令」という制度が新設されます。
これは、調停中に裁判所が当事者に対し財産に関する情報の開示を命令できる、という制度です。
新制度によって、財産分与の議論がより公平で迅速なものになることを期待しています。