成人の子のいる離婚
2020.02.10更新
子が成人している場合、親の離婚は子とは無関係。
それが原則です。
しかし、養育費がからむと必ずしもそうなりません。
権利者(養育費をもらう側)にしてみれば、子が未成年のうちは養育費を受け取ることができます。
ところが、いったん子が成人してしまえば養育費の支払義務はありません。
子が成人してからの離婚であればなおさらです。
財産もあまりない離婚であれば、お金を一銭も受け取れない、ということにもなりかねません。
そこで、しばしば、離婚の場に成人の子が絡んでくることになるのです。
具体的には、成人の子の養育費が請求される。
婚姻費用にも子の分が乗っけられる。
成人の子が同居することを前提とした転居費用を請求される。
調停でも任意協議でもこういった事態はよく起こります。
当たり前ですが、成人した子は大人です。
大人である以上、同じく大人である親の離婚とは無関係であるべきで、やはりこういう事態はおかしいです。
私は、こういった事態を引き起こしている責任は裁判所にあると考えています。
未成年のうちは保護の対象だが、成人後は1人の大人。
それが法の原則です。
ところが、裁判所自ら、「未成熟子」なる根拠不明の概念を持ち出し、明確な原則の外枠を曖昧にしてしまっています。
そのことが、成人の子を親の離婚に巻き込む原因になってしまっているのです。
そのような事態の最大の被害者は、養育費を受け取れない親や、養育費を余計に払う親ではありません。
親の離婚に巻き込まれ、引っ張り合われる羽目になるお子さんです。
子の福祉が重要というなら、ルールを明確化し、親の離婚に子が巻き込まれる事態こそ最大限回避されるべきです。