「相続財産」と「財産分与」
2019.01.11更新
前回、「離婚」と「相続」はだんだん似てくると書きました。
しかし、ある点で「離婚」と「相続」は根本的に違います。
それは、自分が相続した財産の扱いです。
離婚の場合、自分が相続した財産は、特有財産となります。
夫婦で形成した財産ではないので、共有財産にはなりません。
財産分与の対象にもなりません。
でも、相続まで待てば別です。
相続の場合、共有財産と特有財産の区別はありません。
相手が相続した財産であっても、相続では自分のものにすることができる。
例えば、自分の親から不動産を相続したとします。
離婚の場合、その不動産は特有財産なので、財産分与の対象にはならず、相手にわたることはありません。
でも、相続まで待てば、その不動産を手に入れることも可能なのです。
相手の立場に立ってみれば、離婚に応じず、相続まで待ちたい理由がここにあります。
相続が現実的な可能性として浮上してくる年齢になってから離婚を考える場合、この点もしっかり考えておく必要があります。
弁護士 小杉 俊介